九州大学 熱帯農学研究センター
自然資源管理学研究室(百村研究室)

外部資金により実施中の研究

外部資金により実施中の研究

流域圏生態系におけるヒトと自然の共生

科学研究費助成事業 学術変革領域研究(A)『ゆらぎの場としての水循環システムの動態的解明による水共生学の創生』」(以下、水共生学)の一環として進められている「水共生学」に参画している。この学問は、水循環を通じて自環境と人間社会の調和的な共生を目指すものである。水循環が生態系や人間活動に与える影響を評価し、気候変動や人口増加が引き起こす水問題への解決策を探ることを目的として、地球圏・生物圏・人間圏という三つの視点を統合し、持続可能な未来社会の構築を目指している。

百村の参画する計画研究C01班「流域圏生態系におけるヒトと自然の共生」は、流域圏における地球圏、生物圏、人間圏の相互作用を解明し、持続可能な地域水環境の実現を目指している。

研究対象は、森林、農地、河川から浅海域に至る流域圏生態系であり、カンボジアや九州でのフィールドワークを行い、地域に適応した「循環共生型流域圏」の構築を目指している。

持続可能な農業生産性向上を実現するプラズマアグリサイエンス拠点

COI-NEXT「共創の場形成支援プログラム」は、「CO₂排出の極端に少ない持続可能な農業生産社会の実現」を目指すプロジェクトであり、市民、農家、大学、企業、自治体など、多様な参加者が協力して持続可能な農業生産性の向上に取り組んでいる。このプロジェクトでは、窒素循環の破綻や食料生産のトリレンマ、肥料不足、国内肥料低自給率といった課題の解決を目指す。

参画している研究開発課題「人材育成班」では、プラズマ農業の持続的発展を支えるために、研究者や農業事業者をグローバルに育成することを目指すとともに、研究成果を国内外の農業分野に効果的に普及し、とくに途上国における持続可能な農業技術の導入を推進する役割も担っている。熱帯農学の知見とネットワークを活かし、熱帯アジアでの技術普及の道筋をつけることを目指す。

アンデス・アマゾン山地森林生態系保全のための統合的森林管理システムモデルの開発

アンデスからアマゾンに至る山地森林生態系では、人間活動や気候変動に起因する森林火災や伐採、水資源の不足といった人為的な撹乱により、生態系機能の低下が懸念されている。この課題に対応するため、地域住民が生態系サービスを享受しつつ森林保全を実現できる森林管理システムを開発している。このシステムは、地域住民による水資源や森林資源の管理を支援する意思決定ツールとして社会実装を目指している。

参画する研究課題「森林保全と生態系サービスの持続的利用のための森林管理システムモデルの開発」では、住民の利用ニーズと生態系保全の両立を図る森林配置を提示することが可能な統合型森林管理システムを検討している。具体的な参画業務は、土地利用変化の要因を分析し、森林管理における地元のニーズを特定する作業を進めている。

本事業は、JST(科学技術振興機構)とJICA(国際協力機構)が共同で推進するSATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)の枠組みのもとで実施されている。