九州大学 熱帯農学研究センター
自然資源管理学研究室(百村研究室)

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奄美大島でのアマミノクロウサギと農業をめぐる調査

活動報告

4月12日から16日にかけて、世界自然遺産に登録されている奄美大島(鹿児島県)を訪れ、アマミノクロウサギによる農作物被害とその対策について調査を行いました。今回は生産者である農家の方々や行政、専門機関への聞き取りを中心に進めました。今回の調査は、当研究室の大学院生とともに取り組む「人と自然の共生」をテーマとした研究の一環です。

奄美大島では、外来種であるマングースの防除などが進むなかでアマミノクロウサギの生息数が回復してきた一方、主産業の一つであるタンカン(柑橘)の樹皮や苗木が食害される被害が近年広がっています。クロウサギは国の天然記念物であり保護の対象でもあるため、捕獲による個体数調整は容易ではなく、侵入防止柵を用いた「棲み分け」が対策の柱とされています。今回は、大和村宇検村奄美市の各役場や鹿児島県の出先機関、環境省の奄美野生生物保護センター、そして生産者の方々を訪ね、被害の実態や柵などの対策、支援制度の運用について幅広くお話を伺いました。

地域の方々がクロウサギを大切に思う気持ちと、農業を続けるうえでの切実な課題とをどう両立させていくか。世界自然遺産の島ならではの「人と自然の共生」という難しい問いに、現場の声から迫る貴重な機会となりました。ご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。

奄美野生生物保護センターの鈴木専門員からアマミノクロウサギに関するへの聞き取りの様子
アマミノクロウサギにタンカンの幹がかじられている。薬剤が散布されているが、なかなか被害防止にまでは至らない
クロウサギの食害から守るため、タンカンの幼木に取り付けられた行灯型のガード
クロウサギのすり抜け用のトンネル。一方向にしか行けないようになっている